ドラムの各部はボルトを締めたりゆるめたりしてヘッドの張り具合を調整し、各パーツの音を自分の思ったとおりのサウンドを作っていく。
基準はピッチ(音の高さ)、アタック感、サスティン(音の伸び)の3つ。
また、ドラムの音はいくつかの倍音(オーヴァートーン)が含まれている。たとえばスネア・ドラムの打面をスティックで叩くときに、手で触りながら叩いた音と何もない状態で叩いた音とを比べてみれば、かなりの違いがある。これは手によって倍音がカットされたことを意味するもので、ドラムの場合はこの状態を手でなく他のもので行う(ミュート)。
チューニングに用いるのは、チューニングキー、グリス、ミュート類、乾いた布、ドライバーや、スパナなどの工具である。
チューニングキー
スネア・ドラムチューニング
一般的にドラム・パーツの中でも音ヌケを良くするために、高めにチューニングされるのがこのスネア・ドラム。打面側のトップも裏側のボトムも、各ボルトの内側2センチくらいのところをスティックで軽く叩いて、均一の音の高さになるようにするのが基本。特にボトムの場合はスナッピーが邪魔になるため、スナッピーをoffの状態でスティックを挟んでチューニングする。
対角線のボルトを締め、次に十字線、斜め対角線の順に締めていく。締め具合は、リムの2cmほど内側をスティックで叩き、きれのいい音で鳴る程度に。一度に合わせるのではなく、少しずつ繰り返す。裏面は非常に薄く出来ているので、締め過ぎるとヘッドが破れるので注意が必要である。
全てのボルトが締まったとき、リムの内側を叩いて同じ音程で鳴るように締め具合を調整する。この時サスティーン音で計ると良いだろう。そしてヘッドのテンションを均一にしていく。
トップとボトムのバランスは、スナッピーのレスポンスを良くするのであれば、ボトムのヘッドを指で軽く押してもほとんど沈まないくらいに張り、トップよりも高めのピッチにすればよい。逆にトップよりも低めのピッチであれば、デッドな雰囲気のサウンドにすることができる。
タム・タム、フロア・タムチューニング
タム系については、数も2~8以上もあるため音程差をつけることがポイントになり、当然口径の小さいものから大きいものヘピッチを低くする。特に気をつけたいのがサスティンである。タム・タム、フロア・タムごとに同じように音が伸びるようチューニングするのが一般的。
また、ひとつひとつのタムについては、ますボトムのヘッドでサウンドの高低(ピッチではない)を決定するが、これもやはりスネア・ドラムと同じ要領で均一の音の高さにする。そしてピッチの高さとサスティンはトップとのバランスで決定することになる。
基本はロータムをフロアの3度上、ハイタムをフロアの5度上にする。
ちなみにトップを高くし、ボトムを低くするとサスティンよりもアタック重視のサウンドになり、その逆にすると豊かなサスティンのサウンドになる。ちなみにタム・タムの場合は、スネア・スタンドにセットしてチューニングすると楽にできる。
口径が12と13だと1インチしか差がないためシェルの音程に合わせた場合、かなりピッチが近くなる。
スネア・ドラム、タム系のミュート
多くは布製のガムテープやそれにティッシュなどを挟んだもの、ヘッドと同じ素材で2.5センチくらいの幅の狭いリング・ミュート、さらにフープに取り付けるフェルト製の後付けミュートなどさまざまなものが利用されている。リング・ミュートを除いて、これらは取り付ける位置によってもそのミュートの効果は違ってくるのが特徴。
バス・ドラムチューニング
バス・ドラムはジャズを除いてはアタック音が求められることが多いため、わりと低めにチューニングされる。特にダブル・フィルム・タイプのヘッドを使用する場合は、打面側のヘッドの一部分にしわが寄っでしょうくらいゆるめに張られることもある。また客席側のヘッドについては、アタック音や音ヌケを強調する場合はヘッド自体を外したり、大きく穴を開けたり(ホール・カット)する。そしてバス・ドラムの全体的な鴫りやサスティンを加えたい場合は、穴を直径約15センチ以内に開ける、またはまったく開けないという方法がとられている。