バスドラムはドラム・ペダルをキック(踏む)して音を出す楽器である。
そのキックの方法もサウンドやフレーズによって、いくつかに分類ができる。
通常のドラムのフレーズに対する基本的なキック、一般的な奏法はペダルのフット・ボードにかかとをつけるヒール・ダウン奏法、かかとを少し浮かせてキックするヒール・アップ奏法の2つである。
ヒール・アップ奏法の方が多くのドラマーに使用される。
ヒール・ダウン/ヒール・アップ
バスドラムのペダルワークのヒール・ダウン、ヒール・アップについて。
ヒール・ダウン奏法
ヒール・ダウン奏法は、姿勢が安定しやすくビギナーでもキックしやすいのが特徴。
ペダルのフット・ボードに足全体をつけ、かかとを軸にしてつま先で踏むとい
う奏法である。
パワフルな音量を出すにはかなり訓練が必要。また、ジャズで使われる軽いタッチのサウンドを出すには、こちらの奏法の方が適しているといえよう。
ヒール・アップ奏法
ヒール・アップ奏法は、姿勢が不安定になりやすいが、体重をかけてキックすることができるため、パワーのあるサウンドを出しやすい。
フット・ボードに足全体をのせ、ビーターをヘッドに押し付けた状態で、そのままか
かとを2センチほど浮かせると、足の指と指の付け根に体重がかかった状態になる。
そして、それをひざで持ち上げてから体重をかけて踏み込む。
ロック、ポピュラーミュージック向きの奏法。
ビーターを付ける
ヒール・ダウン、ヒール・アップ両方でも見られる奏法だが、特にロックなどでは、バスドラムでのキックは、アタックを強調するために、ビーターそのものでミュートをする。つまり、キックした後もビーターをそのままヘッド
に付けたままにしておくことが多い。
ただし、ジャズやフュージョンなどのジャンルで、ソフトなサウンドやサスティンを求める場合は、ビーターがヘッドにヒットした直後に離されることもある。
ダブルアクション
ダブルアクションは、ペダルワークのうち、1回の足の動きで、連続する2つ以上の音を出すテクニック。目安として、テンポが100以上の連続する16分音符のフレーズで使われる。
完璧にマスターすれば、片足だけで3連、4連のフレーズまでプレイすることが可能。
ヒール・アップ奏法での具体的な方法
スライド奏法
常にカカトはペダルから離してキックする。
1回踏み込んだ足をすぐもう一度「前」に踏み込んで2回踏む。
ビーターをヘッドにあてた状態から、足を3~4センチほど手前に引いて、そのまま、つま先で踏み込み1発。
力を抜いて足を前方へ少しずらす(ビーターはヘッドから離れる)。
体重をかけて思いっきり踏み込む(2発目キック)。
2度目に前に踏み込むためには1度目はペダルの中央のあたりを踏み、その踏んだ反動で勝手に右足が微妙に浮き上がるような感覚をつかむ事が重要。
2発目の踏み込みは斜め前に踏み込む、またはバスドラを蹴る感覚に近い。
リズムのズレや音量差に気をつけたい。
2バス・プレイ(ツイン・ベース・ドラムダブル・ベース・ドラム)
2バス・プレイはバス・ドラムを右足用、左足用それぞれ1つずつセットし、それぞれの足でキックする。
ハード・ロック、ヘヴィーメタル系に多い。
左足の基本的な奏法は、右足と同じだが、ハイハット・スタンドとの踏み替えに注意がいる。
また、最近では、1つのバス・ドラムで2バス・プレイができるツイン・ペダルがいろいろなメーカーで作られているため、さらに手軽に2バス・プレイが可能。