
ストラトキャスター(Stratocaster)は、フェンダー社が1954年から発表・発売を行っているエレクトリックギターの機種。テレキャスターと共にフェンダー社を代表するギター。
ボディ材は、1954年の発売当初はアッシュを用いていたが、後にアルダーや少量だがアメリカン・バスウッドも用いられるようになった。アッシュは音の立ち上がりがよく存在感がある、アルダーは中域に特徴がある、アメリカン・バスウッドは音質にくせがないといったように、それぞれの木材には音質に特徴があり、用途や好みによってユーザーに選好されている。
- ストラトキャスター(Stratocaster)の特徴
- Fender USA Stratocaster
- Fender Japan Stratocaster
- Fender Mexico Stratocaster
- Fender Mexico Deluxe Players Stratocaster
- Fender Mexico Classic Series ’50s Stratocaster
- Fender Mexico Classic Series ’60s Stratocaster
- Fender Mexico Classic Series ’70s Stratocaster
- Fender Mexico Pawn Shop Offset Special
- Fender Mexico Roadhouse Stratocaster
- Fender Deluxe Power Stratocaster
- Fender Kenny Wayne Shepherd Stratocaster
- Fender Modern Player Stratocaster HSS
- Fender Road Worn ’50S Stratocaster
- 現代の音楽アンサンブルにおけるストラトキャスターの物理的構造と音響的役割
ストラトキャスター(Stratocaster)の特徴

ストラトキャスター(Stratocaster)の特徴について
ボディ
ボディデザインは共通。使用される材はアルダー、アッシュ、セン、バスウッド、ポプラが中心である。
ピックアップ
「アメリカン・スタンダード」以上のモデルに限ると、搭載されるのはノイズレス、ノイズレス・ホット、テキサス・スペシャル、ヴィンテージ、アメリカン50’s、レース・センサー系の6つ。
フェンダー・ジャパンやメキシコの廉価モデルに搭載されるピックアップは仕様が一定しておらず、固有名詞も与えられていない。
ネック
メイプル1ピース、ローズウッドonメイプルの2種類が基本であるが、「貼りメイプル」のモデルが、カスタムショップで製作されることもある。ネックの形状は、スモールとラージの2種類である。
ラージはハイウェイワンシリーズ、デラックスシリーズのSSHモデル、クラシックシリーズの1970年モデル、アメリカンビンテージシリーズの1970年モデル、カスタムショップの1969年モデルに使用されている。
トレモロ・ユニット
シンクロナイズド・タイプとアメリカン・スタンダード・トレモロ、アメリカン・デラックス・トレモロの3種類。
トレモロ・ユニット
塗装
基本的にポリウレタン塗装、一部のモデルにはニトロセルロース塗装がなされる。
ストラトに強くなれ!
「ストラトに強くなれ!」は、ビンテージ・ギター本の元祖『フェンダー・ストラトキャスター』を新装増補版として刊行。
1987年の刊行以来,ベストセラーを続ける『フェンダー・ストラトキャスター』。ビンテージ・ギター本の元祖であり,その美麗な写真と資料的価値の高さであらゆるギター愛好家の間でバイブルとされている本書が,ストラト生誕50周年を記念し,グレードアップしてよみがえります。92年に一度改訂(タイトルも『ザ・フェンダー1ストラトキャスター』と改題)されましたが,今回は表紙も一新,ギター・マガジン本誌で好評。
ストラトに強くなれ! 目次
- ビンテージ・ストラト・ファイル 54,55,56,57,59,60,61,62,63,64,65,66,68のカラー・グラフ
- ストラト年表 1954~1979
- 各部の変遷 ヘッド,チューニング・キー,フィンガーボード,ネック,ボディ,ルーティング,アッセンブリー,ブリッジ,デイティング,シリアル・ナンバー,パテント,プライス,フィニッシュ,ケース
- 各部の詳細 パーツ・リスト,ネック,アッセンブリー,ブリッジ,ボディ
- カスタム・カラー&レア・スペック・グラフ
- フェンダー・ギャラリー
- ストラト・ギャラリー
Fender USA Stratocaster
フェンダーUSAのストラトキャスターです。
American Deluxe Stratocaster N3 ASH
Fender USA フェンダー American Deluxe Stratocaster N3 ASH [Aged Cherry Sunburst/Maple] ストラトキャスター
Fender American Deluxe Stratocaster N3 ASH(カラー:Aged Cherry Sunburst/指板:メイプル)はアッシュボディのN3ストラトキャスター。Vネックシェイプを採用したフェンダーギターです。
Fender USA Select Stratocaster
Fender USA フェンダー Select Stratocaster ストラトキャスター
Fender Select Stratocasterは、フェンダーの最高級ラインとして誕生したSelectシリーズのストラトキャスター。見た目とサウンド、演奏性全てにおいてエクセレントなスペックを採用しています。
Fender USA フェンダー American Deluxe Stratocaster N3 レフトハンド
Fender USA フェンダー American Deluxe Stratocaster N3 LH [3-Color Sunburst/Maple] ストラトキャスター レフトハンド
Fender American Deluxe Stratocaster N3 LH(カラー:3-Color Sunburst)はN3ストラトキャスターのレフトハンドモデル。新しいフェンダーギターを垣間見るメイプル指板です。
Fender USA 1979 Stratocaster Walnut ‘79
Fender USA 1979 Stratocaster Walnut ‘79年製 フェンダーUSA ストラトキャスター 1979 ウォルナット
Fender USA American Special Stratocaster HSS
Fender USA フェンダー American Special Stratocaster HSS [3-Color Sunburst/Rosewood] ストラトキャスター
Fender American Special Stratocaster HSS(カラー:3-Color Sunburst)はフェンダーUSA製造のHSSストラトキャスター。幅広いサウンドメイクが可能なフェンダーギター。
Fender Japan Stratocaster
フェンダージャパンのストラトキャスターです。
Fender Japan ST-STD
Fender Japan フェンダージャパン ST-STD ストラトキャスター
Fender Japan ST-STDはフェンダージャパンラインナップの中で最もコストパフォーマンスに優れたストラトキャスター。演奏性にも優れたギターです。取り扱いカラー:3TS, BLK, CAR, VWH
Fender Japan ST54/VSP
Fender Japan フェンダージャパン ST54/VSP ストラトキャスター
Fender Japan ST54/VSPはアッシュ2Pボディにメイプル1Pネック(Vシェイプ)とフェンダー初期の魅力が詰まったストラトキャスター。ジャパンならではのモデルです。取り扱いカラー:2TS
Fender Japan ST57
Fender Japan フェンダージャパン ST57 ストラトキャスター
Fender Japan ST57はバスウッドをボディに採用した57年ストラトキャスター。今も褪せない魅力的なフェンダーサウンドを出力します。取り扱いカラー:BLK, FRD, OCR, OLB, SBL, T, VWH
Fender Japan ST58
Fender Japan フェンダージャパン ST58 ストラトキャスター
Fender Japan ST58はフェンダージャパンラインナップの中でも非常にバランスのとれたサウンドを出力するストラトキャスター。3TSカラーと組み合わせてヴィンテージライクなモデルです。
FenderJapan ST62 Stratocaster OTM
Fender Japan ST62 Stratocaster OTM ビンテージコンデンサ搭載!
フェンダージャパン ST-62 ストラトキャスター 画像はオーシャン・ターコイズ・メタリック
Fender Japan ST62G
Fender Japan フェンダージャパン ST62G ストラトキャスター
Fender Japan ST62Gはフェンダージャパン一番人気のST62にゴールドパーツを搭載したストラトキャスター。標準的なストラトビジュアルにゴージャスさを追加しました。取り扱いカラー:3TS
Fender Japan ST62-TX/MH
Fender Japan フェンダージャパン ST62-TX/MH ストラトキャスター
Fender Japan ST62-TX/MHは62年ストラトにフェンダージャパン独自のオリジナルカラーやマッチングヘッド、パーツを組み合わせたストラトキャスターです。取り扱いカラー:BMT, JB
Fender Japan ST62/VSP
Fender Japan フェンダージャパン ST62/VSP ストラトキャスター
Fender Japan ST62/VSPは62年ストラトキャスターをモデルにしたフェンダージャパンのヴィンテージスペシャルバージョンです。随所に至るこだわりがあります。取り扱いカラー:3TS, VWH
Fender Mexico Stratocaster
フェンダーメキシコのストラトキャスターです。
Fender Mexico Deluxe Players Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Deluxe Players Stratocaster [3-Color Sunburst/Maple] ストラトキャスター
Fender Deluxe Players Stratocaster(カラー:3-Color Sunburst/指板:メイプル)はフェンダーメキシコ製造のストラトキャスター。ゴールドパーツを採用した豪華なフェンダーギター。
Fender Mexico Classic Series ’50s Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Classic Series ’50s Stratocaster [2-Color Sunburst/Maple] ストラトキャスター
Fender Classic Series ’50s Stratocaster(カラー:2-Color Sunburst)はメキシコ製造のストラトキャスター。50年代ストラトキャスターの伝統的特徴を再現したフェンダーギター。
Fender Mexico Classic Series ’60s Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Classic Series ’60s Stratocaster [Black/Rosewood] ストラトキャスター
Fender Classic Series ’60s Stratocaster(カラー:Black)はメキシコ製造のストラトキャスター。60年代ストラトキャスターの伝統的特徴を再現したフェンダーギターです。
Fender Mexico Classic Series ’70s Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Classic Series ’70s Stratocaster [3-Color Sunburst/Maple] ストラトキャスター
Fender Classic Series ’70s Stratocaster(カラー:3-Color Sunburst/指板:メイプル)はメキシコ製造のストラトキャスター。70年代ストラトキャスターの特徴を再現したフェンダーギター。
Fender Mexico Pawn Shop Offset Special
Fender Mexico フェンダー Pawn Shop Offset Special [Shell Pink/Maple] エレキギター
Fender Pawn Shop Offset Special(カラー:Shell Pink)はアルダーホロウボディのエレキギター。ストラトキャスターをベースに、フェンダーを代表する要素が様々に組み合わさったモデル。
Fender Mexico Roadhouse Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Roadhouse Stratocaster [Arctic White/Maple] ストラトキャスター
Fender Roadhouse Stratocaster(カラー:Arctic White)はフェンダーメキシコ製造のストラトキャスター。コシの強いテキサスブルーストーンを発揮するPUを搭載したストラトキャスター。
Fender Deluxe Power Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Deluxe Power Stratocaster [2-Color Sunburst/Rosewood] ストラトキャスター
Fender Deluxe Power Stratocaster(カラー:2-Color Sunburst)はフェンダーメキシコ製造のストラトキャスター。HSSによる力強いストラトサウンドが売りのDeluxe Powerモデルです。
Fender Kenny Wayne Shepherd Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Kenny Wayne Shepherd Stratocaster [3-Color Sunburst/Rosewood] ストラトキャスター
Fender Kenny Wayne Shepherd Stratocaster(カラー:3-Color Sunburst)はフェンダーメキシコ製造のストラトキャスター。実力派ブルースロッカーモデルらしく、オリジナリティー溢れる仕様です。
Fender Modern Player Stratocaster HSS
Fender Mexico フェンダー Modern Player Stratocaster HSS [Olympic White/Rosewood] ストラトキャスター
Fender Modern Player Stratocaster HSS(カラー:Olympic White)はモダンプレイヤーシリーズのフェンダーメキシコ製造ストラトキャスター。リアPUはとシングルのハムの切り替えが可能です。
Fender Mexico フェンダー Road Worn ’50S Stratocaster [Black/Maple] ストラトキャスター
Fender Road Worn ’50S Stratocaster(カラー:Black)はフェンダーメキシコ製造のストラトキャスター。50年代のストラトに長年使い込んだようなギズ、サビ、変色を再現したモデルです。
Fender Road Worn ’50S Stratocaster
Fender Mexico フェンダー Standard Stratocaster [Arctic White/Rosewood] ストラトキャスター
Fender Standard Stratocaster(カラー:Arctic White/指板:ローズウッド)はフェンダーメキシコ工場で製造されるストラトキャスター。高級感溢れるルックスとモダンスペックが魅力です。
現代の音楽アンサンブルにおけるストラトキャスターの物理的構造と音響的役割
1954年に誕生したストラトキャスターは、エレクトリックギターの設計において極めて合理的なモジュール構造を採用し、その後の音楽の歴史を物理的な側面から形作ってきた楽器である。ソリッドボディ、ボルトオン・ネック、3基のシングルコイル・ピックアップ、そしてシンクロナイズド・トレモロ・システムという構成は、プレイヤーの肉体的な動作を極めて高い解像度で電気信号へと変換する。デジタル録音技術が発達し、あらゆる波形がDAW上で精密にコントロールされる現代の音楽制作環境において、ストラトキャスターが持つ特有の周波数特性とトランジェント(音の立ち上がり)は、複雑なアンサンブルの中で音の居場所を確保するための極めて重要な音響ソースとして機能している。ここでは、ストラトキャスターを構成する物理的なメカニズムと、それが現代のサウンドデザインに与える影響について詳細に解剖していく。
ボルトオン構造とロングスケールがもたらすトランジェントと張力
ストラトキャスターのサウンドを根本から決定づけるのは、木材の接合方式と弦の長さ(スケール)による物理的な力学である。
ネックジョイントの物理的特性とパーカッシブなアタック
ボディとネックを金属製のネジで固定する「ボルトオン(デタッチャブル)」構造は、接着剤を使用するセットネック構造とは全く異なる振動の伝達経路を持つ。木材同士が完全に一体化していないため、弦を弾いた瞬間の運動エネルギーがボディとネックの境界で適度に遮断され、サスティーン(音の伸び)は物理的に短くなる。しかし、この振動の遮断こそが、ストラトキャスター特有の極めて鋭くパーカッシブなアタック音(トランジェント)を生み出している。現代のファンクやネオソウル、あるいは緻密なビートメイクが要求されるポップスにおいて、この打楽器に近い歯切れの良さは、楽曲のリズムを強調し、グルーヴに強力な推進力を与える。
25.5インチスケールによる倍音構成とテンション
ストラトキャスターは25.5インチ(約648mm)というロングスケールを採用している。弦の長さが伸びることで、同じ音程にチューニングした場合の物理的な張力(テンション)は高くなる。張力が強い弦は、振動の振幅がタイトに抑えられ、低次倍音よりも高次倍音(金属的な響き)が強く発生する。この「張りの強さ」が、低音弦を弾いた際の「ピアノのような」と形容される明瞭な輪郭を生み出し、深く歪ませたハイゲイン・アンプを通しても音が潰れないクリアな解像度を維持する。さらに、現代のダウンチューニングや変則チューニングを用いた際にも、弦のテンションが極端に失われないため、モダンなラウドミュージックやマスロックにおける複雑なフレージングにも高いレベルで対応できる。
ピックアップ配列と「ハーフトーン」の音響的位相干渉
3基搭載されたシングルコイル・ピックアップと、それを切り替えるセレクタースイッチは、ストラトキャスターに多彩な音響的フィルターを提供する。
シングルコイルの狭い磁界とガラスのような高音域
シングルコイル・ピックアップは、ハムバッカーに比べて弦の振動を拾う磁界の幅が物理的に狭い。そのため、特定の狭いポイントの倍音だけを純粋に抽出し、高音域が減衰することなくアンプへと出力される。これがストラトキャスター特有の「ガラスが割れるような」と称される、透明感と鋭さを持ったトーンの正体である。ネック(フロント)側では弦の振幅が大きいため温かく太い音になり、ブリッジ(リア)側では振幅が小さく倍音が豊富なため、耳に突き刺さるような鋭い音になる。ピックアップの位置による物理的な波形の違いを、プレイヤーは楽曲の展開に合わせて瞬時に選択することができる。
位相のズレを利用したハーフトーンのメカニズム
ストラトキャスターの音響特性として現代の音楽シーンで最も多用されるのが、隣り合う2つのピックアップ(フロントとセンター、またはセンターとリア)を同時に鳴らす「ハーフトーン」である。物理的に離れた位置にある2つのピックアップが同じ弦の振動を拾うと、到達する波形に微小な時間差(位相のズレ)が生じる。この2つの信号が電気的にミックスされる際、特定の周波数帯域が干渉して打ち消し合う「コムフィルター(櫛形フィルター)効果」が発生する。これにより、中音域が適度に削られ、高音域が強調された「チャカチャカ」「クワック」といった独特の鼻にかかったようなトーンが生成される。このハーフトーンは、ボーカルやシンセサイザーが密集する現代のミキシング環境において、他の楽器の帯域を一切邪魔せずにギターの存在感を際立たせるための、極めて実践的で強力なサウンドデザインである。
シンクロナイズド・トレモロ・システムによる物理的共鳴と揺らぎ
ストラトキャスターのボディ裏側に搭載されたシンクロナイズド・トレモロ・システムは、単なるピッチ変更の装置にとどまらず、楽器全体のアコースティックな響きを支配する重要な構造である。
スプリングが生み出すメカニカル・リバーブ
ブリッジの張力を支えるためにボディの裏側に張られた複数の金属製スプリングは、弦を弾くたびにボディ内部で共鳴を起こす。このスプリングの共振は、ピックアップを通じて電気信号に混入し、ストラトキャスター特有の「金属的な空気感」や「自然な残響(メカニカル・リバーブ)」を付加する。スプリングを裏蓋で覆うか外すか、あるいはスプリングの本数や掛け方(平行か斜めか)を変更するだけで、この残響成分の周波数は物理的に変化する。完全に固定されたブリッジを持つギターには絶対に存在しない、この微小な共鳴ノイズこそが、ストラトキャスターの音色に有機的な奥行きを与えている。
ピッチの連続的変化とモダンなアーティキュレーション
トレモロアームを使用することで、プレイヤーは弦の張力を物理的に増減させ、和音を保ったままピッチを滑らかに上下させることができる。現代のアンビエント・ミュージックやシューゲイザー、あるいはローファイ・ヒップホップにおいて、このアーミングを用いた演奏技術は新たな広がりを見せている。コードを弾いた直後にアームを微かに揺らすことで、古いカセットテープの回転ムラ(ワウ・フラッター)のような不安定なピッチの揺らぎを意図的に生み出したり、シンセサイザーのピッチホイールのように音程を無段階に滑降させたりするアプローチである。肉体的な操作による滑らかなピッチの変調は、デジタル音源には出せない生々しい感情の起伏をトラックに刻み込む。
デジタル・レコーディング環境におけるストラトキャスターの優位性
DAWとプラグイン・エフェクトを中心とした現代の音楽制作において、ストラトキャスターが出力する音声信号は、サウンドエンジニアにとって極めて扱いやすい素材である。
ミッドレンジの空白とプラグインへの耐性
ハムバッカーを搭載したギターは中低音域(ローミッド)に強大なエネルギーを持つため、ミックスの段階でベースやボーカルと帯域が衝突しやすく、EQによるシビアな削り取り作業が要求される。対してストラトキャスターのシングルコイル・サウンドは、このローミッドの帯域が元々すっきりと整理されている(スクープされている)ことが多い。これはデジタル空間における一種の「余白」として機能する。深いディストーション、過激なファズ、あるいは複雑なディレイやリバーブといった空間系エフェクトを何層にも重ねて適用しても、元の音が持っている鋭いトランジェントが失われないため、音が泥沼のように濁ることがない。現代の緻密でハイファイなサウンドデザインにおいて、ストラトキャスターは極めて優秀なキャンバスとなる。
ノイズとの共存と音響的テクスチャの活用
シングルコイル・ピックアップの構造的な宿命である、外部の電磁波を拾ってしまうハムノイズ(ジーというノイズ)は、現代の高解像度なデジタル録音においては不要な成分とされることが多い。ノイズゲートやデジタル処理による不要帯域のカットなど、ノイズを抑制する技術は進化している。しかし一方で、このアナログ特有のホワイトノイズを、楽曲に温度感やリアリティを与えるための「環境音(テクスチャ)」として意図的に残すアプローチも存在する。無音空間が完璧すぎるデジタル音源に対して、ストラトキャスターが発する微小なハムノイズは、そこに人間が物理的な楽器を持って存在しているという確かな証明となる。
結論:モジュール式デザインがもたらす無限の音響的拡張性
誕生から長い年月が経過した現在においても、ストラトキャスターの物理的な構造は現代の音楽シーンの最前線で機能し続けている。木材、金属パーツ、ピックアップ、スプリングといったすべての要素がネジ一つで分解・交換可能なモジュール式デザインは、プレイヤー自身による音響的なカスタマイズを容易にした。アタックの鋭さ、ハーフトーンの位相干渉、そしてトレモロシステムによるピッチと共鳴の支配。これら物理的なメカニズムの組み合わせが、デジタルプロセッシング全盛の現代においても、エレクトリックギターという楽器にしか表現し得ない圧倒的なダイナミクスと有機的な揺らぎを生み出している。ストラトキャスターは、プレイヤーの肉体表現をそのままデジタル空間へと転送する、極めて完成された音響的インターフェースなのである。


