ギターやベースのピックアップ(pick up)について。
ピックアップ(pick up)
ピックアップは、弦の振動を拾って電気信号に変換するためのパーツであり、マイクである。
弦の振動を電気信号に変える、音の入り口であり、 ボディとともに音色に大きな影響を与える。
金属製弦が、ピックアップの磁石の磁界内でこれが振動すると、磁界の変化が生じるが、 その磁界の変化でコイルの中の磁石が影響を受け、コイルの中で電磁誘導が起こり、弦の振動が微弱な電気信号に変換されて出力される。
ピックアップは、永久磁石とコイルからできおり、エレキギターやベースのボディ中ほどで弦の下についており弦の振動を拾う。
変換された信号は、ボリューム・コントローラーやトーン・コントローラーを通って、アウトプット・ジャックからシールドを通って、アンプに入り、アンプから音が出力される。ピックアップを変えることにより音を太くしたり、高音を目立たせたり、音に特徴を持たせることが可能。
これにはアクティブとパッシブの2種類あり,アクティブではピックアップで捉えた弦の振動を電気的な信号に変える際に,電圧の補正を加えて安定させる機能がある。
そのため9V電池が内蔵されているタイプがある。
マグネティック・ピックアップ

一般的なギターやベースに搭載されているピックアップ。
永久磁石の周りに電線を巻き付けコイルとし、楽器に使われている金属の振動を電磁誘導による誘導電流として検出する。
ピックアップ周辺で強磁性(=磁石に引きつく性質)を持つ金属(鉄、ニッケルなど)が振動することによって、ピックアップの中にある磁石の磁界が変化し、磁石とコイルによる電磁誘導で電気信号にして出力するという仕組み。
エレクトリックギターやエレクトリックベースなど、弦に透磁率が高い素材(一般には、常温で強磁性を示す鉄)を使用する弦楽器の弦に隣接させてコイルに磁束密度変化を生じさせるが、近づけすぎると磁力が弦の振動に負のスティフネスを作用させ、出力音の唸りが強くなる。また、弦振動の減衰を早めるためにサスティンは乏しくなる。シングルコイルやハムバッキングが代表的な構造で、それらをいろいろな組み合わせで使うことも多い。弦楽器以外ではハモンドオルガンの発音原理にも用いられる。
ボディのブリッジとネックの間に取り付ける。 そのため仮にナイロン弦やガット弦など非金属製の弦を張って弾いても音を拾わない。
マグネティック・ピックアップの種類
マグネティック・ピックアップの種類。
シングルコイル
ポールピースは一本の弦に対して1つで。ポールピースに導線を巻いただけのシンプルなピックアップでノイズもそのまま出力する。
シングルコイルピックアップはハムノイズがある代わりに弦の振動を素直に変換する。
立ち上がりが鋭く、乾いていてブライトな音色で 歯切れがよく透明感がある。
スプリットコイル
1,2弦、3,4弦に分かれた2つのシングルコイルを直列で並べたPU。
ハムキャンセル効果がある。
プレベのような上下に並ぶタイプと、一見ジャズベのシングルPUのような横一列に並ぶタイプがある。
ハムバッカー
シングルコイルを逆相で2つ直列に並べたピックアップ。
シングルコイルピックアップに比して信号対ノイズの比率(S/N比)を大きくとることができ、ハムキャンセル効果がある。
出力が大きく、サスティーンが良く、また、音が歪みやすい。ローミッド寄りのあたたかい音色。
スタックコイル
背の低いシングルコイルを逆相で2つ直列に重ねたピックアップ。
外見上はシングルコイルピックアップだが、中のコイルが縦に二層になるように取り付けられていて、二つのコイルがハムバッキング効果を持つように結線されており、 見音質や特性はハム・バッキングに準じる。
リップスティック
マグネットをコイルで巻き絶縁したものを口紅用のケースに収めたチープかつユニークな構造で、
ダンエレクトロに載ってるタイプのピックアップ 。
ギター用とベース用の区別はない。高さ調節はボディ裏から行う。
主なマウントの種類
Jタイプ (JBタイプ)
ジャズベースなどシングルコイルを2つ並列に並べた配置。JJ。
2つのピックアップがそれぞれ逆相の場合、前後を同じ出力にするとハムキャンセル効果がある。
Pタイプ (PBタイプ)
プレシジョンベースなどスプリットコイルピックアップを1つ置いた配置。
ハムキャンセル効果がある。
PJタイプ
フロントにスプリットピックアップ、リアにシングルピックアップを1つ置いた配置。
元はプレベのリアにジャズベのシングルを追加するという定番の改造法。
シングルピックアップのみハムキャンセル効果なし。
ピックアップ高
ピックアップの高さの設定のことを、ピックアップ高という。
マグネット式のピックアップは通常、両脇のネジで高さの設定を変更できるようになっている。
ピックアップ高については、最終フレットを押えた状態での弦との距離を測ることで設定。 通常は、リアピックアップで2~3mm程度、フロントピックアップで3~3.5mm程度に設定する。
ピックアップ高は音量や音質に対して影響があり、ピックアップが高くなれば出力も上がり音もブライトになる傾向が、逆に低くなれば出力は下がり音もマイルドになる傾向がある。
また、ピックアップ高を高くしすぎると、ピックアップの磁石が常に弦に干渉し、振動を阻害してサスティーンを減少させたり、弦がたわんでチューニングが不安定になるなどの悪影響をもたらすことがある。
なお、フロントピックアップはリアピックアップよりも大きな信号を生む傾向があり、音量のバランスを整える意味でリアよりもフロントを低く設定する。
現代の音楽制作におけるピックアップの役割と進化
エレクトリックギターやベースの弦の振動を電気信号に変換するピックアップは、楽器の心臓部と言えるパーツである。現代の音楽シーンにおいて、アンプシミュレーターやDAWによるデジタルプロセッシングが主流となった今でも、最初に音のキャラクターを決定づけるこのアナログな変換器の重要性は少しも失われていない。むしろ、デジタル環境での解像度が高まったからこそ、ピックアップが拾い上げる微小なニュアンスや周波数特性の違いが、最終的なミックスにおいて大きな意味を持つようになっている。
パッシブとアクティブの選択と現代のアプローチ
ピックアップには、電源を必要としないパッシブタイプと、電池駆動のプリアンプを内蔵したアクティブタイプが存在する。これらは単なる出力の違いではなく、現代の音楽ジャンルにおけるサウンドメイキングの方向性を大きく左右する。
ヴィンテージトーンの再評価とパッシブピックアップ
パッシブピックアップは、弦の振動に対するダイナミクスが豊かで、ピッキングの強弱やギターのボリューム操作に対する追従性が非常に高い。現代のネオソウルやインディーポップなど、オーガニックなトーンやプレイヤーの微細なタッチが求められるジャンルにおいて、パッシブピックアップの持つ温かみのある中音域は非常に重要である。アンプをクランチ設定にし、手元のコントロールだけでクリーンからオーバードライブまでを操るプレイスタイルには、伝統的な構造を持つパッシブタイプが適している。
デジタル機材とアクティブピックアップの親和性
一方で、ハードロックやモダンメタル、あるいはEDMなどのエレクトロニックな楽曲にギターやベースを融合させる場合、アクティブピックアップが選ばれることが多い。プリアンプを内蔵しているためノイズに強く、出力インピーダンスが低いため長いケーブルを引き回しても音質劣化が少ない。さらに近年では、コイルの巻き数に依存しない全く新しい構造のアクティブピックアップも登場している。これらは極めてフラットでワイドレンジな特性を持ち、最新のデジタルモデリングアンプやプロファイリングアンプに入力する際のピュアな信号源として、非常に高いパフォーマンスを発揮する。
多弦楽器の普及とピックアップへの物理的要件
現代のラウドミュージックやDjent(ジェント)といったジャンルでは、7弦や8弦ギター、5弦や6弦ベースの使用が標準化している。これに伴い、ピックアップに求められる物理的な要件も大きく変化した。
超低音域の再生と解像度の確保
多弦楽器が発する超低音域は、従来のピックアップ設計では音がぼやけてしまい、輪郭を保つことが難しい。現代の多弦用ピックアップは、極端なダウンチューニングにおいても音の分離感を失わないよう、磁力の強いセラミックマグネットを採用したり、コイルの巻き方を工夫したりと、解像度を極限まで高める設計がなされている。複雑なコードボイシングや高速な刻み(リフ)をクリアに再生するためには、特定の帯域が突出しないフラットでハイファイな特性を持つモダンなピックアップの選択が重要となる。
アナログとデジタルの融合を担う特殊ピックアップ
エレキギターやベースの可能性は、マグネティックピックアップによる伝統的なサウンドにとどまらない。物理的な振動を異なる形で取り出す特殊なピックアップの活用も、現代の音楽制作において広がっている。
ピエゾピックアップによるアコースティック表現の拡張
ブリッジのサドル下などに仕込まれるピエゾピックアップは、弦の振動ではなく楽器の物理的な圧力を電気信号に変換する。もともとはアコースティックギターの音をアンプから出力するために開発されたが、現代ではソリッドボディのエレキギターに搭載されることも珍しくない。曲中でディストーションサウンドからアコースティックな響きへ瞬時に切り替えたり、マグネティックピックアップの音とピエゾの音をブレンドして立体的なクリーントーンを作り出したりと、ライブパフォーマンスの表現幅を大きく広げるツールとして活用されている。
MIDIピックアップとシンセサイザーの連動
各弦の振動を独立して拾い上げ、デジタル信号(MIDIデータ)に変換する専用のピックアップも存在する。これをギターシンセサイザーやPCに入力することで、ギターの演奏技術を用いたまま、ピアノやストリングス、あるいは現代的なEDMのシンセベースの音色を鳴らすことが可能になる。弦楽器の直感的なチョーキングやビブラートといったニュアンスを電子音に反映させることができるため、キーボードプレイヤーとは異なるアプローチでデジタルトラックを構築する際の強力なアプローチとなる。
マグネット素材とトーンの探求
ピックアップの音色を決定づけるもう一つの大きな要素が、内部に使用されているマグネットの材質である。
アルニコとセラミックの特性の違い
伝統的なピックアップには、アルミニウム、ニッケル、コバルトの合金であるアルニコマグネットが多く使用される。アルニコには磁力の強さによって種類があり、一般的に甘く音楽的なコンプレッション感と、滑らかな高音域をもたらす。ブルースやクラシックロックのフィーリングを求める際に選ばれることが多い。対して、セラミックマグネットは磁力が強く、出力が高くアタックの鋭いシャープなサウンドになる。深いディストーションをかけても音が潰れにくいため、モダンなヘヴィミュージックやテクニカルなプレイスタイルに適している。
楽器のポテンシャルを決定づける第一の変換器
デジタルエフェクトの進化により、録音された後の音色を加工する技術は飛躍的に向上した。しかし、弦の物理的な振動を最初に電気信号に変えるピックアップの特性は、その後のプロセッシングの方向性を決定づける。倍音を豊かに含むアナログ的なレスポンスを選ぶか、ノイズレスで広帯域なモダンな特性を選ぶか。自分のプレイスタイルと目指す音楽ジャンルに合わせてピックアップを交換し、適切なチューニングを行うことは、現代のプレイヤーが自らのサウンドアイデンティティを確立するための、最も直接的で効果的な音響的アプローチである。


