ドラムのシェルの材質はウッド、金属(鉄、ステンレス・スティール、真鍮、アルミ、チタン、リン青銅、赤銅、合金)、合成樹脂など様々である。
そのうち木胴(ウッドシェル)と金属胴についてみていこう。
木胴(ウッドシェル) ドラムシェル
木胴は金属胴に比べてよりアコースティックなサウンドがその特質。木胴の場合は外気の湿度、さらには製造から経た年月によってもそのサウンドは微妙に変化する。
木胴の材質
ドラムシェルとしての木胴の材質の一般的な分類。
- メイプル
- バーチ
- ビーチ
- ローズウッド
- オーク
- ブビンガ
- バスウッド
- ポプラ
- ラワン
メイプル(かえで科の木)
最も一般的で、明るく暖かみのあるサウンドが特徴。高域から低域まで音のバランスがよく、心地のよいサスティーンが得られる。ドラムスティックやエレクトリック・ギターの材質としても使われている。
バーチ(かば)
メイプルよりは安価だが、硬質で中低音域が強調された甘い音色。コシのあるサウンドでクリアーな低音が得られる。
ビーチ(ぶな)
アタックが鋭く、中低音域が豊かで、パワーのある太めのサウンドが特徴。ドイツのsonor(ソナー)やYAMAHAなど一部のメーカーにしか見られない。
ローズウッド
かなり硬度の高い材質で、金属シェルに似た音質。サウンドはやや硬め。一般向けに市販されているのは、TAMAのスネア・ドラムのみ。
オーク
材質的に固くて重く、芯のしっかりした音抜けのよいサウンド。YAMAHAのみ。
ブビンガ
非常に硬質で重量のある素材。TAMAが最高級ラインと位置づけている。
バスウッド(シナノキ科の広葉樹)
ドラムのシェル素材としては、TAMAが中級グレードのSupersterに一部使用している。
ポプラ
サウンドは暖かく、TAMAの廉価グレードImperialstarに採用。
古くからドラムシェル素材として利用されてきた素材のため、ヴィンテージ・ドラムなどでもよく見かける。
ラワン
廉価版のセットなどに使われる安価な木材。
単板シェルと合板シェル
単板シェルは、1枚の板を曲げてつなぎ合わせたもので、メイプルのスネア・ドラムのみに見られる。ドライで明るく繊細なサウンドが特徴。
その製造技術が高度であったり、素材的にも高級になるために少し高めの価格設定がされる。
合板シェルは、基本的に何枚もの板を接着剤と熱処理で貼り合わせたもので、強度が高くパワフルでスネア・ドラムからバス・ドラムまで幅広く使用される。フライという単位で何杖の板を貼り合わせたかを表す。
金属胴 ドラムシェル
金属胴はサウンドの安定性や高い耐久性がよい。現在では各メーカーともスネア・ドラムの材質にラインナップされているのみ。
かつてはラディック社のスティールやタマ社のチタンなど、ドラムのすべてのシェルに金属が使われていたモデルが存在していた。
金属胴の材質
ドラムシェルとしての金属胴の材質の一般的な分類。
- スティール
- ブラス
- コパー
- アルミニウム
- チタン
スティール(鉄)
明るくシャープなサウンドで、その種類も入門機種から上級機種まで幅広く設定されている。価格は比較的安いものが多い。
ブラス(真ちゅう)
金管楽器の材質として有名。スティールよりは柔らかく深みのあるサウンドで、金属胴の中でも非常に人気の高い材質のひとつ。
コパー
オーケストラで使われる打楽器ティンパニ銅のこと。強度はそれほど高くないが、繊細で柔らかいサウンドか特徴。
アルミニウム
明るく繊細なサウンドが特徴。スナッピーのレスポンスも高め。
チタン
非常に軽量で硬質な新素材。圧倒的なパワーとヴォリュームが得られる高い加工技術が要求されるため、製造メーカーが少ない。価格も高め。