マイクロフォン(Microphone)

マイクロフォン(Microphone)は、空気の振動(音)を電気信号に変換する。その変換方式にはいくつかの種類があり、代表的なものは、ダイナミック型およびコンデンサー型と呼ばれるものである。

他にもマグネティック型でリボン素子を内蔵したリボン型などが存在するが、高品質ながらその構造的特徴が持つデリケートさでPA現場での使用例はさほどない。

それでは上記2つの種類のマイクが持つそれぞれの構造を見ていこう。

ダイナミック型マイクロフォン(動電型マイク)

ダイナミック型マイクロフォン(動電型マイク)ムービング・コイル型とも呼ばれ、名のとおり電磁誘導(磁気誘導)の原理を利用した構造で、空気振動を受け取る極薄の膜(振動板、ダイヤフラム)にコイルが取り付けられ、それが磁界を横切る時、その動きに比例してコイルの両端に電圧が生じると、磁界内でコイルが動き、音声信号を得る。構造がシンプルなのでトラブルが少なく、温度や湿度による制約も少ない。安価。
サウンドとしては、コンデンサー型ほど再生できる帯域は広くないが、特に中低域がしっかりと安定しており、幅広く便われる。

ヴォーカル用途ではアメリカ製のシュア(SHURE)社「SM58」が定番中の定番。

他に楽器ユースとして同社の「SM57」、

ドイツ製のゼンハイザー(SENNHEISER)社「MD421」などがその代表格。
感覚としてはダイヤフラムと一体になったコイル(螺旋状に巻いた金属の銅線)の中に円筒形の磁石が入り込んでいるという具合である。
発電のプロセスとしては、マイクに向かって声を出すと、その空気の振動に応じてダイヤフラムが押し引きされ、同時に動いたコイルが磁石の周囲でピストン運動をして電気エネルギーが生じる。
その出力はミリボルト単位で、別途電源を用いずとも自家発電ができる。

コンデンサー型マイクロフォン

一方のコンデンサー型マイクロフォンは、その名のとおり電気を蓄える機能を持つ電子パーツ、コンデンサー(キャパシタ)の原理を用いて電気信号を取り出すものである。
空気振動で動く振動板と、固定された固定極の2枚のダイヤフラムがあり、双方に別電源から直流電流が供給されて電荷を蓄えている。
振動板が空気振動によって動くと2枚の電極間の距離に応じて容量が変化し、これを微少な電圧として取り出す。
デリケートな構造上、湿気に弱く、外部からの電源供給(ファンタム電源、一般的にはコンソールに装備された専用機能や単体ユニットをマイクとコンソールの間に接続する電源)が必要だが、ピックアップできる周波数が広くワイドレンジで、高域から低域まで収音特性が優れ、レコーディングで多用される。高価。
サウンド傾向は、その広い周波数特性からどのような楽器にも柔軟に対応するが、PAでは特に再生レンジが広いピアノ、高域が伸びるシンバル系などの金属製楽器やアコースティック系楽器など繊細さが要求される機会に使われることが多い。

構造的には導電性のある2枚のダイヤフラムを持ち、片方が固定された状態で保持され、一方だけを空気振動に対応させる。両極双方には別電源から直流が供給されて電荷を蓄え(充電)、ここでコンデンサーを形成。
このとき片方のダイヤフラムが受けた音の動きによって2枚の電極間の距離に変化を生じ、コンデンサーの値(キャパシタンス=静電容量)に変動が生じる。この変化を微少な電圧として取り出す構造である。
ダイナミック型のようにダイヤフラムがコイルと接合されるようなしくみ、いわば荷物を背負っておらず、動きが軽いため、音への追従性能が機敏であり、特性的に高性能・高感度であることが大きな特徴である。
よく使われるコンデンサー型マイクロフォンの機種としては、ヴォーカルマイクでは、シュア社「KSM9」「BETA87」オーストリア製のAKG(アーカーゲー)社C451(スモールダイヤフラム型)」、「C414(ラージダイヤフラム型)」、が定番。 またレコーディングシーンで著名なノイマン(NEUMANN)社からも近年「KMS104」や「KMS105」といったヴォーカルマイクが手頃な価格で登場。

さらにコンデンサー型は、その構造的特徴から小型の製品でも容易に製造できるため、タイピン型バウンダリー型というようにバリエーションも豊富。

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