ハウリング(Howling)は、音響再生の際、スピーカーから出た音をマイクが拾い、それをまたスピーカーが再生するということを繰り返し、大きな騒音が連続して発生する現象。
マイクの音量を上げ過ぎると起こす「キーン」という不快な音である。
先にマイクロフォンに入った音よりも、それが増幅され、スピーカーから出た音が再びマイクロフォンに入る音の方が大きいと、それが繰り返される度に音が大きくなり、すぐにハウリング状態になる。
近年は機材、特にスピーカーシステムの高品位化で少なったが、本番で起こしてはならないのがこのハウリング(欧米ではフィードバック)である。
そのプロセスは、スピーカーから出た音を再度マイクが拾ってこれを繰り返すループ現象。
PA現場においてはこの現象を引き起こしやすいポジションがモニターセクションである。
マイクとスピーカーが近接しており、アーティストがリクエストを出せば音量を上げざるを得ない。
イコライザーでのハウリング対処
そうしたなかで一般に対処されているのがEQ(イコライザー)を使ってループしようとする周波数をカットする方法。
ループを起こす周波数というのは音のエネルギーが強いからで、裏を返せば聴こえやすいということである。
マイクのゲインを上げていくと「ピー」とハウリングが起きる。ハウリングが起きたその周波数帯域をカットまたは絞る。 Hi・Mid・Loの3バンドイコライザーの場合、ハウリングの発生でHiをカットすると歯切れの悪いこもった音源になってしまい、複数バンドに細分化された高級グラフィックイコライザーにしても1バンドごとの周波数帯域は広いために音質が落ちる。
カットしてしまうので、当然聴こえにくくなり、ここでまたマイクの音量を上げる⇒ハウリング。といった悪い循環に陥る危険性を秘めている。したがって適度なところで手を打つバランスの見極めが大切である。
目安としてはひとつの周波数が6dB以上、周波数ポイントが1/3オクターブ式のEQで、10ポイントを超えるイコライジングになりそうな時はもう一度改めるか、別に原因がある。例えばモニタースピーカーが持っている基本特性が暴れている、あるいはマイクの特性とのマッチングが悪い場合など。 スピーカーの基本性能が暴れている場合、バイ・アンプ方式であれば各ユニットの出力バランスを見直す。ネットワークを使ったものの場合はEQを使って補正をするしか方法はないが、いずれにしてもそうした基本補正を現場でやるのはあまりに効率が悪い。
仮に倉庫での基本補正で100Hzが2dBカットされた場合。今度は現場で低域が必要となり、同じ100Hzを2dBブーストした場合(例として)EQの盤面は、-2→+2=±Oで見かけ上動いてはいない。
しかしその日、100Hzの操作が必要なかったわけではなく、結果としてOを指し示していることを知りながらミキシングする必要があるということになる。これは本来は2台のEOで操作すべきものを1台でまかなった結果でしかない。
マイクのキャラクターはチャンネルにインサートしたEOで補正をすべき、その日限りの調整はミキサーのチャンネルEO、スピーカー補正用EQと会場環境への調整用にはさらに別のEQを、というのが正しい姿である。実際にはこうしたセッティングは行わないが、これを意識しているといないのとでは結果が大きく異なる。