ギター・ベースなどの奏法であるトリル(trill)ビブラート(vibrato)グリッサンド(glissando)について。
トリル(trill,トリラー)
トリルは、あるひとつの音と、その半音または全音上(あるいは半音または全音下。音程差はこれにとどまらない)の音とを細かく連続して出すために用いるテクニックで、具体的には前述のハンマリング・オンとブリンク・オフとを交互に細かく連続させるもの。きれいな音を維持させるには、一定の安定した強さでのハンマリング・オンとブリンク・オフが必要になる。記譜では音符に“tr~~~ヽ”をつける。
ビブラート(vibrato)
ビブラートは、上記のトリルほどはっきりした音程感を出さずにひとつの音を揺らす(震わせる)テクニック。具体的な奏法は、左手の指で押弦しながら、指先を支点として振り子のように揺らすのだが、基本的には弦と平行した方向に(つまりネックのヘッド側とブリッジ側の方向へ)揺らす。なお、この時、指を揺らす方向が弦と垂直方向の場合のそれは、“チョーキング・ビブラードとなる。いずれにしても、非常に微妙な変化を出すものだが、音の細かな表情が変わり情感豊かなものとなる。
グリッサンド(glissando,グリス)
グリッサンドは、ハンマリング・オンとブリンク・オフが半音から全音程度の音程差で用いられたのに対し、もっと音程差を大きくつけたい時に使われるテクニック。具体的には左手の指を弦の上で滑らせて音を上行、下行させるのだが、上行の場合を“アップ・グリス’、下行の場合を“ダウン・グリスという。あらゆるサウンド、あらゆるテンポで頻繁に用いられるが、手を滑らせる速さや、滑らせている途中で速さを変えることによりさまざまなニュアンスを出すことができ、また、ベースでは特に曲中での場面の変わり目などで多用される。譜面上の表記はスラーに“g”を記したもので表す。